ルイ・ヴィトンの長財布はお嬢さまの誇り

学校の持ち物検査で、ルイ・ヴィトンの長財布を没収されたとき、「どこで盗んだ」と言われ、お嬢さまはマジ切れしたそうです。返せ 23万だばかやろー、と暴言を吐き、先生に殴られました。援助交際は犯罪であること。若いうちからラクして稼ぐことを覚えたらいけないこと。高校生にブランド品なんて百年早い、家で勉強でもしろと。「どうせニセモノだろうけど」、と最後に付け加えたものだから、お嬢さまは完全にイカレてしまい、先生に頭突きして、いま2週間の停学中なのでした。

横断歩道を渡れない初老のご婦人を助けてあげたことがキッカケでした。目を覗き込むと、濁っていて、よく見えないようです。介添えして横断歩道を渡りきったとき、初老のご婦人が感謝のしるしにと言って、中古のルイ・ヴィトンの長財布をくれたのでした。自分は同じものをもう1つ持っているからと。
それからお嬢さまはニセモノのルイ・ヴィトンのバッグを購入し、好奇心から長財布の価格も調べたのです。クレープも食べ終えて、「どっこいしょ」と腰を上げると、ルイ・ヴィトンの長財布を取り出し表面を撫でてみました。経年によって深い艶が表れています。これぜったいホンモノ、と胸の内でつぶやきました。お嬢さまには誇らしい、ルイ・ヴィトンの長財布なのでした。

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